国民年金の制度と納付忘れのリスクについて
皆さんは、国民年金保険料を忘れずに納付していますか?
国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が入らなければならない年金制度です。
国民年金に入っている人は第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者の3種類に分かれます。
会社に就職したり、退職したりすると加入している制度が変わり、加入種別も変わります。
加入種別が第1号被保険者になった場合は、保険料を自分で納めなければならなくなります。
もし納付を忘れていた場合、年金を満額受け取れなかったり、老後の年金が受給できなくなります。
本記事では、年金を満額もらうための条件の確認と、自分がその条件を満たしているかチェックすること、そして満額もらえない場合には満額をもらうための対処法をご紹介いたします。
国民年金を満額もらうための条件
国民年金をもらうためには一定の加入期間が必要になります。
専門用語では受給資格期間と呼ばれていて、受給資格期間が25年~40年の場合に限り年金が受給できます。
補足ですが、消費税が10%になった場合には、受給資格期間が「10年~40年」に変わります。
年金を満額もらうためには、受給資格期間が40年にならないといけません。
受給資格期間(40年)であれば、満額779,300円(平成30年4月時点)をもらうことができます。
ちなみにもらえる年金額は以下の計算式で算出されます。
計算式を見て頂くと分かる通り、保険料納付済期間に応じて受給できる年金額が変わります。
分母が40年×12か月となっているので、納付期間が40年であると満額もらえるということです。
もし、納付義務のある20歳~60歳の間に納付を忘れていたり滞っている時期があった場合は、
その分だけ年金が減額されて支給されることになります。
減額されたら誰でもイヤなので、自分が納付し忘れていないか?どのくらいの期間納付済であるか?が気になりますよね。
というかちゃんと知っておきたいですよね。
確認方法については次の章でご紹介します。
自分の国民年金保険料納付済期間をチェックする方法
自分が年金を納め忘れていないか確認する方法があります。
毎年、誕生月に送付される「ねんきん定期便」を見ることです。
「ねんきん定期便」とはこんな青いハガキです。送られてきていませんか?
「国民年金(第1号・第3号)納付状況」欄において最近の納付履歴が記載されているので一度チェックしてみましょう。
納付履歴に記載されている用語の見方は以下の通りです。
納付済 | 保険料を納めた期間(保険料が免除や猶予された後に追納した場合も含む) |
未納 | 保険料を納めていない期間または「ねんきん定期便」の作成時点で納付が確認できない期間 |
3号 | 第3号被保険者の期間 |
全額免除 | 保険料が全額免除の期間 |
半額免除 | 保険料が半額免除され、残りの半額を納めた期間 |
半額未納 | 保険料が半額免除されたが、残りの半額を納めていない期間 |
3/4免除 | 保険料が3/4免除され、残りの1/4を納めた期間 |
3/4未納 | 保険料が3/4免除されたが、残りの1/4を納めていない期間 |
1/4免除 | 保険料が1/4免除され、残りの3/4を納めた期間 |
1/4未納 | 保険料が1/4免除されたが、残りの3/4を納めていない期間 |
学生特例等 | 学生納付特例または若年者納付猶予が認められた期間 |
付加 | 付加保険料を納めた期間 |
合算 | 国民年金の任意加入期間のうち、保険料を納めていない期間(参考情報であり、年金請求時に書類による確認が必要です) |
未加入 | 20歳以上60歳未満の期間のうち、どの年金制度にも加入していなかった期間 |
また「ねんきんネット」に登録すれば、
すべての期間の年金加入記録を24時間いつでもパソコンやスマートフォンから確認することができます。
「ねんきんネット」は年金加入記録照会以外に、年金を受け取る年齢を繰り上げた場合の年金見込み額を試算するなど様々な条件に応じたシミュレーションができたり、持ち主の分からない記録の検索、ねんきん定期便などの各種通知書の確認、等の年金に関する情報を調べることができます。とても便利なツールです。登録は一生に一度しておけば良いので早めにしておくといいと思います。
以上の方法で、保険料納付期間を確認した上で、未納の月があって受給資格期間(40年)に満たない状況にぶち当たりましたら、次の章で紹介する対処法を試してみてください。
国民年金を満額もらえないときの対処法
受給資格期間が40年に満たない場合は、年金が満額もらえるようにするために次の対処法を検討してみてください。
まず未納の月があった場合、「後納制度」が利用できないか確認しましょう。
「後納制度」とは、平成27年10月から平成30年9月28日(金)までの3年間に限り、過去5年分をさかのぼって納めることができる制度です。
これを活用することによって、もらえる年金額が増えて、受給資格期間をより満たすことができるようになります。
ちなみに平成27年9月までは過去10年間までさかのぼり、納め忘れた国民年金保険料を納付することができました。段々とさかのぼれる年数が少なくなってきています。年金は納め忘れないようにしていきたいですね。
もし「後納制度」で何とかできなかった場合には、60歳~65歳までに入れる「任意加入制度」を利用しましょう。
「任意加入制度」とは納付期間が40年に満たない人が追加で国民年金保険料を納付できる制度です。
40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない人にとっては、60歳~65歳までの最高5年間分を追加で納付することができます。要は受給資格期間が35年~39年の人にとっては満額受給できるようになる最後のチャンスなのです。
ちなみに納付期間がトータルで40年になった場合はそれ以上納付することはできません。満額以上の受給資格期間はありえませんので、例えば41年間保険料を支払うことはできません。あくまで満額がもらえるようになる受給資格期間(40年)を満たすための制度と考えてください。
注意点として制度の名前が任意なので、手続きは自分で行わないといけません。忘れずに年金事務所か市区町村の国民年金課で行ってください。加入を忘れてしまうと、さかのぼって手続きをすることができません。あくまで加入した月からでないと納付ができません。
加入していれば、任意加入の納付の時効は2年なので、2年まではさかのぼって納付することができます。
受給資格期間(25年)を満たせなくて国民年金がもらえないときの対処法
未納の月があって、もし受給資格期間が25年に満たない場合は年金がもらえなくて死活問題となります。
そんな方のために開かれた道があるのでおまけでご紹介いたします。
60歳までに老齢基礎年金の受給資格期間(25年)を満たしていない場合には、70歳まで追加で納付することができます。(任意加入制度)ただし、受給資格期間(25年)になったら納付は終了します。ただし、65歳の時点で納付が20年ない人は利用できません。
注意点として制度の名前が任意なので、手続きは自分で行わないといけません。忘れずに年金事務所か市区町村の国民年金課で行ってください。加入を忘れてしまうと、さかのぼって手続きをすることができません。あくまで加入した月からでないと納付ができません。
「任意加入制度」を利用してもなお、老齢基礎年金の受給資格期間(25年)を満たしていない場合には70歳を過ぎても納付することができる、最後の裏ワザ「高齢任意加入制度」を利用しましょう。
ただし、加入するためには会社に勤めていなければなりません。70歳での就職は現実的にむずかしいので基本的には70歳までに受給資格期間(25年)を満たすように人生設計することをおススメ致します。親戚・知人などを頼って何とか就職させてもらえれば使える制度と思っておいた方が良いでしょう。
まとめ
今回は国民年金の制度であまり知られていない内容をピックアップしてみました。
基本的に「任意加入制度」を使った受給資格期間(40年)を満たす裏ワザは使わないようにしましょう。
なぜならば、60歳を迎えたら忘れずに手続きできる保障はありません(手続きを忘れる人が多い)し、手続きできても毎月納付しないといけないので生活が苦しくなりがちです。
できるだけ余裕のある時期(60歳未満)に年金の支払いは済ませておくと、老後生活がゆっくりできていいですね!
最後までお読みいただきありがとうございました。